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「社風」は、どう伝えるかよりどう判断してもらうかの話

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目次

社風が大事、と言われるけれど

採用の話をしていると、「社風は大事ですよね」という言葉は、ほとんど前提のように出てきます。 求職者が会社を選ぶときに社風を重視している、という話も、いまさら否定する人はいないと思います。

ただ、採用広報を手掛けるの側に立って考えると、ここで少し引っかかることがあります。 「社風が大事」と言いながら、その社風が何を指しているのかは、人によってかなり違うという点です。

雰囲気の良さを思い浮かべている人もいれば、働き方や人間関係、評価のされ方まで含めて捉えている人もいます。

このズレを曖昧なままにして発信してしまうと、「ちゃんと伝えているつもり」と「判断できているかどうか」の間に、少しずつ距離が生まれていきます。

なぜ社風は、伝えているのに判断材料になりにくいのか

「社風については、きちんと書いているつもりです」

採用広報の相談をしていると、よく聞く言葉です。

それでも求職者からは、 「雰囲気は良さそうだったけど、自分に合うかどうかは分からなかった という反応が返ってくることがあります。

ここで起きているのは、社風を“伝えていない”というより、社風が判断に使われる形で置かれていない状態です。

社風が「説明」で止まってしまう

社風を語ろうとすると、次のような言葉が並びがちです。

  • 風通しがいい

  • チームワークを大切にしている

  • 若手が活躍している

どれも間違ってはいません。 ただ、これらは会社側の説明としては成立していても、求職者が「自分の場合はどうだろう」と考えるには、少し足りません。

もう少し言うと、その言葉が、日々の仕事や人の振る舞いの中でどう表れているのかが見えないと、判断に使いづらくなります。

良く見せようとしすぎてしまう

もう一つよくあるのが、社風を前向きに伝えようとするあまり、どの会社にも当てはまりそうな表現だけが残ってしまうケースです。

比べてみると、「どこも良さそうだけど、決め手がない」という印象になりやすくなります。

求職者が知りたいのは、感じがいい会社かどうか、というよりも、自分がその中に入ったとき、無理がなさそうかどうかです。

社風が判断につながらないとき、多くの場合、この視点が情報の中にありません。

採用広報における「社風」は、判断材料の集まり

社風というと、どうしても雰囲気や空気感の話になりがちです。 ただ、求職者が実際に見ているのは、もっと具体的な情報です。

多くの場合、社風は日々の行動や意思決定の積み重ねとして読み取られています。

求職者が見ているポイント

見られていること

判断のヒントになる点

意思決定のされ方

誰が決めているのか、スピード感

仕事の進め方

個人裁量か、チーム重視か

評価の考え方

何が評価され、何がされにくいか

人間関係の距離感

上下関係、相談のしやすさ

これらは、どこか一つのページにまとめて書けば伝わる、という性質のものではありません。 社員インタビューや仕事内容の説明、制度の紹介の仕方など、さまざまな情報の出し方の中に、結果としてにじみ出てくるものです。

逆に言うと、どのページを見ても同じような言葉しか出てこない場合、社風は判断しづらいままになります。

社風を伝えるときに起きやすい誤解

社風は良く見せないと、応募が集まらないのではないか

相談の場で、よく出てくる不安です。

この感覚自体は、とても自然だと思います。 ただ、仕事で見ている限り、社風を前向きに伝えることと、求職者が自分に合うかどうかを考えられる情報を出すことは、必ずしも対立しません。

むしろ、働き方の前提や向き・不向きが見えているほうが、結果としてミスマッチは減りやすくなります。

例えば、裁量が大きい環境は合う人にとっては魅力的ですが、サポートを重視する人には負担になることもあります。

どちらが正しいかではなく、どんな人に合いそうかが想像できるかどうかが大切です。

社風を語らなくても、伝わっている会社の情報の出方

社風がうまく伝わっている会社を見ていると、「社風」という言葉を前面に出していないことも少なくありません。

代わりに感じるのは、情報の出し方に無理がない、という点です。

  • 仕事内容の説明と、社員の話が大きくズレていない。

  • 評価や期待される役割について、暗黙の前提が共通している。

  • 働き方について、想像と実態がかけ離れていない。

こうした情報を追っていくうちに、求職者は自然と「この会社では、こういう前提で働くことになりそうだ」と考えるようになります。

社風は、語ったから伝わるものというより、情報の出方を通して、あとから読み取られるものなのかもしれません。

社風は「つくる」より「判断できる形にする」

社風をうまく言葉にしようとすると、コピーやトーンの話に寄りがちです。 ただ、ミスマッチが減っていくのは、そうした表現を工夫したときというより、求職者がどこで迷い、どこで判断しようとしているかが整理できたときだと感じます。

  • 仕事内容は分かったけれど、評価されるイメージが持てない。

  • 働き方は魅力的だけれど、続けられるか不安になる。

  • 人の雰囲気は良さそうだけれど、なじめるか想像しきれない。

社風を判断できる形にするとは、こうした迷いが出てくる地点に、考える手がかりになりそうな情報を置いていくことだと言えます。

言い切らないほうが、判断しやすくなることもある

社風が判断しやすい会社ほど、実は断定的な言い方をしていないことも多いです。

「成長できる」「裁量がある」と言い切る代わりに、どんな場面で任されることが多いのか。 任されたあと、どんなサポートがあるのか。

事実を淡々と置いていく、解釈は、読む側に委ねる。 その余白があるからこそ、自分には合いそうかどうかを考えやすくなります。

まとめ:社風は、どう伝わったかではなく、どう判断されたか

社風は便利な言葉ですが、中身は人によってかなり違います。 だからこそ採用広報では、どう伝えるかよりも、どう判断されていそうかを一度立ち止まって考える必要があります。

ちゃんと書いているはずなのに、決めきれない。

もしそんな感覚があるなら、表現の問題ではなく、判断までの道筋が少し曖昧なだけかもしれません。

SAVVYでは、社風をどう見せるかを考える前に、求職者がどこで迷い、何を判断しようとしているのかを整理するところから支援しています。採用広報の考え方に引っかかりを感じている場合は、気軽にご相談ください。